ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
「は?」
すごい勢いで飛んできた「は?」
今まで聞いたことのない、地底のそこから湧き上がるような怖い声に、一瞬ビクッと肩が震えた。
……もしかして、怒ってる?
おそるおそる顔を見上げると、整った綺麗な顔の真ん中にシワが寄っていた。
ううっ。
「誰に?」
「えっとぉ……」
その顔をまともに見られなくて、伊緒くんを追い越して荷物が散らばった床にペタンと座った。
ふう……と息をついて、小さくつぶやく。
「ま、真柴くん……」
カナちゃんたちに言われたんだ。
『交流キャンプで、真柴くんはマジで決めるみたいだよ』
って。
今まで、何度となく軽い調子で『つき合って』と言い続けてきた真柴くん。
それはノリで交わせるようなものだったけど、まじめに告白されたらどうしたらいいんだろう……。