ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

「は?」


すごい勢いで飛んできた「は?」

今まで聞いたことのない、地底のそこから湧き上がるような怖い声に、一瞬ビクッと肩が震えた。

……もしかして、怒ってる?

おそるおそる顔を見上げると、整った綺麗な顔の真ん中にシワが寄っていた。

ううっ。


「誰に?」

「えっとぉ……」


その顔をまともに見られなくて、伊緒くんを追い越して荷物が散らばった床にペタンと座った。

ふう……と息をついて、小さくつぶやく。


「ま、真柴くん……」


カナちゃんたちに言われたんだ。

『交流キャンプで、真柴くんはマジで決めるみたいだよ』

って。

今まで、何度となく軽い調子で『つき合って』と言い続けてきた真柴くん。

それはノリで交わせるようなものだったけど、まじめに告白されたらどうしたらいいんだろう……。
< 258 / 298 >

この作品をシェア

pagetop