ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
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「モモの好きなチョコだよ~」
揺れるバスの車内で、美雪ちゃんが、私の口元にチョコを持ってきてそのまま口へ入れてくれた。
今日の朝は集合が早かったから、朝食もパンを突っ込んだだけであわただしく用意をして家を出てきた。
それは伊緒くんも一緒で。
昨夜の気まずい空気を引きづったまま特にこれといった会話もなく学校へ着き、クラスごとに分かれてバスに乗り込んだのだ。
「……ありがと」
だけど私は作り笑いしかできない。
「どうしたの? 葉山とケンカでもしたの?」
耳元でこそっとささやかれて、図星の私はまたずどーんと気持ちが沈んだ。
「まあまあ、そういう日もあるよね。でも大丈夫だよ! 葉山だもん、すぐにケロッとするって!」