ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
「まあまあ、虫の居所が悪いこともあるだろ。ほっとけば治るって」
俺の扱いに慣れてる亮介は、前の席から振り返ってそう言う。
そのほうがありがたい。
深く詮索されても、傷をえぐられるだけだからな。
俺は窓の外をぼんやり眺めながら、目的地までバスに揺られた。
キャンプ場につき、俺は外の水道で手を洗っていた。
それにしても……。
モモが真柴に告白するなんて、夢にも考えたことはなかった。
真柴がモモを好きなのは明らかだったが、まさかモモまで……。
「くそっ!」
──ビシャッ。
そう叫んだとき、隣の蛇口から水が飛んできた。
俺の髪の毛が濡れて、前髪から水がしたたり落ちる。
……なんなんだよ、いったい。
踏んだり蹴ったりだと、そのまま顔を横に向ければ。
「うわっ、ごめんね?」
一番見たくない顔が目に飛び込んできた。
焦ったような顔をした、真柴。