ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
「高校生にもなってハイキングとか芸がないよなー」
「仕方ないじゃん。この施設の中じゃそれくらいしかやることないんだから」
「まあそれもそっか」
真柴くんと美雪ちゃんが笑いあう。
他はアスレチックコースもあったけど、ハードそうという理由でハイキングコースを選んだのだけど……。
ハイキングを始めて、すぐにそれが甘かったことを思い知らされる。
「これってハイキングじゃなくて山登りじゃない!?」
息を切らしながらカナちゃんが文句を言う。
「ほんとだよー。私、肺活量には自信があるはずなのに結構やばいわー」
吹奏楽部の柚ちゃんも、はぁはぁ言っている。
私も同意。でも声が出ないくらい苦しくて、ただ足元を見ながら前へ進む。