ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

ハイキングというからてっきり見渡しのいい高原に遊歩道があって、季節の植物を眺めながら歩いていくのかと思ったら大間違い。

険しい斜面があったり、道なき道を進むような感じで、地面からは枝が突出していたり、それこそ周りの木を支えにしながら登らなきゃいけないところもあるんだ。

だから、みんな軍手を着用。


「はぁ……はぁ……」


周りを見る余裕もなく、開いた口からもれるのは激しい息遣いだけ。

ずっと足元ばっかり見てい歩いていると、なんだか目の前が暗くなってきた。

そう思った矢先、バランスを崩して体が斜めに傾いてしまった。


「うわっ……!」


──ガシッ。

倒れそうになったところを、咄嗟に助けてくれてのは真柴くんだった。

強い力で引っ張られて、なんとかひっくり返るのをまぬがれる。
< 272 / 298 >

この作品をシェア

pagetop