ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
配られたペットボトルのドリンクを飲んで、口元をぬぐう真柴くん。
まだまだ余裕があるだろうに、大げさにそんなことを言ってくれる彼に、優しさを感じた。
「そうだ。真柴くんチョコ食べる?」
「おー、食う食う」
リュックからチョコを取り出して、真柴くんへ渡してから、私も口へ放り込む。
疲れた体に隅々まで糖分が行き渡って、生き返ったような気分になった。
チョコでもつまみながらハイキング……と思っていたのに、疲れた体への糖分補給用になるとは。
休んでいると、激しく動いていた心臓のドキドキもおさまってきた。
「ちょーっと、なにこの枝~、邪魔なんだけど~」
その時、別のグループがやって来たのか下の方から話し声が聞こえてきた。