ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
つられるように顔をあげて。やってきたグループを見て、息をのむ。
その一行は、宇野くんや学食で会った軽い茶髪の男の子……それから伊緒くんもいたから……。
ドクンドクンドクン……。
静かになったはずの鼓動が、また激しく動き出す。
もちろん、さっきとは種類の違う心臓のドキドキ。
そういえば、伊緒くんもハイキングっていってたっけ。
……どこかで会えたらいいなと思っていたけど、いま会うのは気まずいよ。
「葉山くん早いよ~」
伊緒くんのとなりにいるのは、あのぐりんぐりんに髪を巻いた女の子。
ジャージの袖をしっかりつかんでいるのを見ると、伊緒くんの腕を支えにして登っているみたい。
そんな光景に、胸にチクッと痛みが走る。