ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
「あ、充電ちゃんじゃん!」
私に気づいたのは茶髪の男の子で、その声によって伊緒くんの視線もこっちへ流れて目が合ってしまった。
ハッとしたような表情を見せた伊緒くんだったけど、
「瑛人、早く行くぞ」
伊緒くんはそんな彼を不機嫌そうに促すと、ふいっとそのまままた前を向いて足を進めてしまう。
「あっ葉山くん、だから早いってばぁ~」
手が離れてしまった伊緒くんを足早に追いかける巻き髪の彼女。
「鈴里さん、じゃあお先に」
「う、うん……」
かろうじて、片手を上げて声をかけてくれた宇野くんにもロクに返事も出来ないまま、一行は私を追い越していった。