ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
……話せなかった。
というか、無視された……。
その事実が、胸の奥の傷をまた深くえぐる。
「なんか伊緒くん機嫌悪かったねー、はははー」
私に声を掛けなかったことを、あえてそう表現してくれたのかわからないけど、ケンカしていることがバレずにしのげたのはよかった。
「……そ、そうだね」
ただ。
伊緒くんはまだ怒ってる。
時間が経って何かが変わっていることを期待していた私には、今の伊緒くんの態度はきつかった。
その後、なんとかゴール地点まで登ったものの。
疲れと心の重みでいっぱいいっぱいで、美雪ちゃんの顔を見た途端、涙があふれてしまった──。