ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

「いたたたっ!ひ、ひみつだよっ」


言わるわけないよ。

伊緒くんにとって、それこそ秘密にしたいことかもしれないし。

──なのに。


「ふーん。モモのくせに俺にヒミツごとなんて生意気」

「いいいい、伊緒くん!? み、みんな見てるって……!」


ここ家じゃないのに。


「いいよ、見せつけてやれば」


耳に息を吹きかけるようにささやかれて、体がゾクゾクする。

伊緒くん!?

美雪ちゃんはニヤニヤしてるし、宇野くんはやれやれって顔をしてる。


ペットと遊ぶのは家だけにしてっ……!


「み、美雪ちゃん教室に行こっ!」


私は伊緒くんの腕をすり抜けて、昇降口まで走って行った。
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