ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
伊緒くんはみんなのもの
すぐに体育館に移動して、入学式が始まった。
入学式では校長先生や、お偉いさんかたのながーい……じゃなくて、ありがたい話を聞いてたら眠たくなってきちゃったよ。
どうしてこう、式典て、ひとりひとりの話が長いんだろう。
でもしゃべってる本人は長いって気づいてないんだろうなあ。
ふわぁ……あくびをかみ殺す。
はやく終わらないかな。まぶたが閉じかけたそのときだった。
「新入生代表、葉山伊緒」
……一気に目が覚めた。
「はい」
耳になじみにすぎた声が体育館に響き渡る。
1組の座る1列目の真ん中あたりからすくっと立ち上がった人。
それは、うしろ姿でも間違うことなんてない……伊緒くん。