ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
ううっ……。
芸能人レベルのカッコいい人が同じ学校にいるなんて、テンション上がるよね。
反対に私のテンションは一気に下降。
「感謝の気持ちを忘れずに──」
……だって。
伊緒くんの挨拶を聞きながら、私は下をむいた。
みんなに知られるのは時間の問題だと思ってたけど、たった一日でもうみんなに見つかっちゃっうなんて。
しかも、全校生徒に。
伊緒くんが、どんどん遠くに行っちゃう。
そんなの耐えられないっ──
「1年1組生徒代表、葉山伊緒」
一度もかむことなくしっかり締めると、今日のどの祝辞よりもいちばん大きい拍手が沸き起こった。
あ、終わった……。
むくり、と顔を上げると、壇上にはもう伊緒くんの姿はなかった。
自分の席に座る伊緒くんのミルクティー色の髪が、ひときわ輝いて見えた。