ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
昔の写真や動画を見ると、伊緒くんは生まれたばかりの私を物珍しそうに見てそーっと頭をなでていたり、添い寝していたり。
昔から、私のお世話係だったんだなーってことがわかる。
私は伊緒くんのあとをいつも追いかけて。伊緒くんの真似をして育った。私が困ったら、いつだって手を差し伸べてくれた。
そんな伊緒くんのことを、恋愛対象として好きになったのなんて、いつからか覚えてない。
気づいたら、好きだった。
だけど伊緒くんにとって私は妹みたいな存在で。
もしかしたら、それ以下。ペットみたいに思ってるのかも。
伊緒くんが私にキスするのは、犬や猫にキスするのと同じ感覚なはず。
そこに特別な気持ちがないことなんて知ってるし。
……期待したらダメってことは私が一番よく知ってる。
伊緒くんは「女の子に興味がない」から。
モテすぎる伊緒くんは、毎日のように、それこそ街で初めてすれ違ったような女の人からも告白されちゃうような絶世のイケメン。
それでも、私の知る限り彼女がいたことは1回もないの。