ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

グッとうしろに引っ張られる感じがして、足が止まった。


「……っ!」


え?え?


「ちょーーーーっとストップストップ!!」

「いたたたっ……」


うしろ髪を引かれるっていうのを、地で体験する。

そのまま顔を後ろに向ければ、私の髪の毛がびよーんと引っ張られていた。


「わっ!」


その先は、男の子のブレザーのボタン。

どうやら私の髪の毛が絡まっちゃったみたい。


「こ、ごめんなさい」


入学式初日から、なにやってんの私……。

顔を傾けながら謝ると、その男の子は私が引っ張られないように彼が距離を詰めてくれる。


「痛いでしょ? 大丈夫?」


そのせいで、男の子の胸元に頬がぴったりついてしまう。


「ちょっと待ってて、今とるから」
< 40 / 298 >

この作品をシェア

pagetop