ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

やだっ、どうしよう。

身動きがとれないから、離れるわけにもいかないし。

恥ずかしやら痛いやら、どうしていいかわかんないよっ。


「んー、結構てごわいなあ」


男の子は頑張ってくれてるみたいだけど、なかなか取れない。


「あのっ、切っちゃって大丈夫です。美雪ちゃん、ハサミ──」


ある?って聞こうとしたら。


「ダメだよ。女の子の髪を切るなんて」

「で、でも……」

「女の子の髪はなでるためにあるんだから」


なんていうから、私は言葉がのどの奥に消えた。

うわあ……。
そういうこと言っちゃうんだ。

聞いてるこっちが恥ずかしくなっちゃう。


「待ってて。必ずほどくから」

「は、はい……」


私が悪いのに、手間をかけちゃって申し訳ないなあ。
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