ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

「てかさ、モモ。入学式どこを見てたの?」

「へ? どこって?」

「ずっと下向いてたよね。俺が挨拶してる間」


うっそ! 伊緒くん、私に気づいてたの?

思いがけないことを言われて、背筋がピンと伸びる。

あんなに大勢の人がいるなかで、私を見つけてくれたとは……じんわりと嬉しさが侵食していく私に、


「理事長から、まじめに話を聞いてない生徒をチェックして報告するように言われたんだよね」


あ、そういうことか。
伊緒くんが私を探してくれるとか、あるわけないもんね。

浮ついた気持ちにそっと蓋をする。


「ちなみに、モモは今、その候補者の筆頭にいるよ」

「ええっ、うそおっ!? それだけはやめてぇ!」
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