ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

入学早々目を付けられちゃった大変!

両手をすりすりして目の前の伊緒くんをおがむ。

慌てる私を見てふっと笑みを浮かべた伊緒くんは、立ち上がり私の方へ歩み寄ってきた。

私の隣に距離をなくして座る伊緒くん。ソファがギュギュっと音を立てて沈み込む。


「い、伊緒、くん?」


呼びかけに、ふっと顔をこっちに振れば、整った伊緒くんの顔面が私の目の前にどアップで映る。

傾いたオレンジ色の陽が入ったリビング。

ほんのり影を帯びた伊緒くんの顔は、それはもう切り取って額縁に入れて飾りたいくらい美しくて。


「どーしてほしい?」


その口から放たれるのは、やっぱりイジワルな言葉。

私の髪の毛を指先でくるくるもてあそびながら。

どうしてほしい、なんて。
私に選択権を与えてくれるの……?


「ほ、報告しないでほしい……っ」
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