ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

俺も真似をした。


『伊緒くんて、なんだか最近、毒舌執事のシュンくんみたいだね』


モモからも太鼓判をもらい。

それ以来、俺はキャラ変してクールにふるまうようになり、もうすっかり自分でもなじんでしまった。


「もういいよ。いこ」


靴も履かずに突っ立っているモモの手を引いて、靴を履かせる。


「……うん」


家を出て、鍵を閉める。

まだ真新しい、指定の黒いローファーで門を出る俺とモモ。

制服が変わっても、こうして並んで同じ学校に登校できるのは幸せだ。


「今日の夕飯は、ハヤシライス」


そう言うと、一気に笑顔になるモモ。


「ほんと? うれし~」


今決めた。

モモの好物はハヤシライス。そう言えば、笑顔になってくれると知っていたから。

今泣いたカラスがもう笑うって、モモのためにあるような言葉だよな。
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