ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

俺は『シュン』にはなり切れない。

やっぱりモモには甘くなる。


「そうだ、伊緒くんアメ食べる？」


機嫌の直ったモモがブレザーに手を突っ込み、満面の笑顔で俺に渡してきたもの。

チラッと横目で見ると、モモが大好きなサクランボ味のアメだった。


「いらね」


朝から甘いもんとか……即座にことわると、


「そっか……いらないよね……」


って、またすぐしょんぼりした顔をするから。


「やっぱいる」


その手からアメを奪った瞬間、ヒマワリが咲いたように笑うモモ。

この顔に弱い俺。口もとを手で覆って、見られないようにガードした。

包みをひらいてアメを口を放り込むと、香料のキツさに顔をゆがめた。