ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
「今すぐ忘れろ。記憶から消去して」
「へ?」
こてんと首をかしげながら振り向くモモは、なにもわかってない。
「モモはそんなこと知らなくていーの」
「もー! また子供扱いしてー」
だって、じゅうぶん子供じゃん?
俺から見たら、幼稚園児と大人くらい差があるよ。
「じゃあこれは教えて?」
「なに?」
パタパタと走り寄るモモは、俺の耳もとに口を寄せて言った。
「伊緒くんは、チェリーボーイ?」
またこてん、と顔を傾けて。
「なっ……!」
だーかーらー。
そういうこと、その顔で聞いてくんなっつの!
「どうしたの? 伊緒くん、顔赤いよ?」
「見んな」
いつもはモモに合わせているペースも、今は構ってらんねえ。
モモから離れるように、スタスタ進む。