ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
「なんだって?」
「え? だから、髪の毛が絡まっちゃったけど痛まなかったよって」
「その前」
「えっとぉ……ブレザーのボタンに……」
「もーっと前」
「……入学式の日に、真柴くんの、」
「はいストーップ」
指を顔の前にピシッと突き付けられた。
うっ……。
な、なにか私へんなことでも……?
「だれそいつ」
そいつ……?
あっ。
「真柴善くん、クラスの男の子だよ」
「……フルネームとか聞いてねーし」
チッ……って、横に舌打ちを飛ばす伊緒くんは、それこそ不良役のドラマに出てきそうなくらい様になってる。
かっこいい……って、ちがうちがう!
なんでそんなに機嫌が悪そうなの?
「ずいぶん楽しくやってんじゃないの? 普通クラス」
「うん……まあ、楽しいけど……」
───ギロッ。