ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

「どっち」


執拗に耳を攻められて、出せるはずの声も出なくなる。

伊緒くんってば……ほんとうにイジワル……っ。


「……んっ」


恥ずかしくて言えっこない。


「ねえ……」


妖艶にささやかれる。

頭のなか、くらくらしてくる……。


「……い……んっ……」

「なに、聞こえない」


ほんとイジワル。


「い……ぉ……くん……っ」

「よくできました」


ようやく解放された私の体。


「はあっ……ん、」

                                
なんだか疲れきって、100メートル走したあとみたいに、ぐったりしちゃう。

ふにゃふにゃと脱力した私を放置して。

ひとり満足そうな伊緒くんは、何事もなかったかのように、ドライヤーを洗面所へ片付けに行った。
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