Re:ha:Next step study ~鬼指導教官にもっとやられっぱなし?!
「バツか・・・俺、これ、ずっと前に、実習生だった真緒にやったな。」
さっきまであたしの八つ当たりに対しても嬉しそうに応答していた彼が、あたしが書き入れた派手なバツ印によって、明らかにしょんぼりしている。
「俺、人生初の不合格・・・なかなかクるな、これ。」
その彼がバツ印の書かれた婚姻届をじっと見つめてから、とうとう顔を上げた。
「真緒・・・俺は元お前の実習指導者だ・・・」
あたしが大好きな、あたしの目を射貫く力強いまっすぐな瞳でこっちを見つめて。
岡崎先生がこれで最後にするとはやっぱり思えない
あたしの憧れの師匠だもん
だから、なりふり構わずにあたしに向かってこい!
「俺だって意地がある。追試させ」
『バツ印でさっさと諦めるか、それとも、ここでしつこくあたしにまっすぐに向かってくるか・・・どっちかを選んで下さい!!! ほらっ!』
あなたが欲しがっている追試のチャンスなんてあげない
今すぐに選んでください
岡崎先生
あなたなら絶対に間違えない
そういうあなたを
あたしはよく知っている
ずっとずっとあなたを想い続けてきたんだもん
だから、あたしは両手を広げてあなたを待っている
大学の卒業式の後、あなたがあたしにしてくれたように・・・
「真緒から選べって言われる日が来るとはな・・・」
そんなあたしのほうへ一歩ずつ近付いてくる岡崎先生。
「でも、俺にはずっと一択しかなかった。真緒という一択しか・・な。」
あたしに無茶な選択肢を提示されても、一切怯む様子もなく近付いてくる彼。
『岡崎先生・・・』
とうとうあたしの手の届く距離まで来た彼は目を閉じた。
「情けないけれどもう限界・・・真緒のいない生活なんて。」
心の底から叫んでいるような切ない声でそう言い、目を開けた彼。
「真緒、結婚して下さい。」
彼はシンプルでわかりやすいその言葉で
あたしが今まで聞いた中で一番頼もしくて力強い声でそう言い、
両手を広げたままでいたあたしをまっすぐに抱きしめた。