Re:ha:Next step study ~鬼指導教官にもっとやられっぱなし?!



『もう、ホント、ダメかと思った。』

「俺にバツ印付けといて・・か?」

『だってこれで最後だ、俺からは・・って言われたからもうダメになるんだと思ったのに・・・こんなことになんて・・・嬉しいけれどなんか悔しくて・・・』

「これで最後だというのは、スプリントや指輪にメッセージを刻んだり、紙飛行機に願いを込めて飛ばしたり・・・こういうややこしい変化球を投げるのは最後だってこと。これからは直球一本だし。真緒のすぐ傍にいることになるからな。」

『だって、紙飛行機を飛ばした時はあたし達がすぐ傍にいられるかわからなかったのに・・・』

「真緒は俺以外の人間を好きになることができない・・・そんな愛し方をしてきた自信が俺にはあるからな。」


腕の中に抱かれたままだから顔を見ない状態で本音のおしゃべりをしていたけれど、真緒と呼ばれて、顔を上げたら、彼の長い指で顎を掬い上げられてあっという間にキスをされた。

誰がいるかわからない研究会スタッフ以外立ち入り禁止区域でも止まらないキス。
5か月の空白を埋めるようなキスに泣きそうになる。
まだあたしの中にある不安のせいで。


「真緒、言えよ。まだあるんだろう?俺に言いたいことが。」

『でも、もうダメになりたくない。』

「ならない・・俺はそのためにこの数か月、ひたすらやってきたんだからな。だから言え。ダメになんかならない。」


あたしの不安を拾い上げたらしい彼のそれらの言葉で
あたしはようやく決心する

『名古屋と高山の遠距離恋愛・・だよ。』

あたしがこの5か月、悩み続けたせいで抱いている不安を・・・


「あ~、悪い・・・俺、また出てきた・・事後報告・・・・」

『は?』

「俺、来年度から、職場変わるんだ。」

『へ?』

「うちの病院と業務提携することになった病院がハンドセラピイ部門を設立することになって・・・そこへ異動することになったんだ。」


ハンドセラピィをしている病院は全国的にも少ない
そんな中での異動って・・・
どこへ行くの?


『そういう事後報告、ちょっと困るかも・・・』


あたしは作業療法士を続けたい
今やっている回復期リハビリを専門的に取り組んでみたいと思っているから、できるなら今、いる職場で・・・
それにもし岡崎先生が、北海道とか九州とかに異動になったら
それこそ結婚どころか、1年に一度会えるか会えないかわからない超遠距離恋愛になってしまう

それはさすがにもうつらい
どうしたらいいんだろう・・・?


「真緒は今のままで大丈夫だ。」

『だって・・・』

「俺が高山に来ることになるからな。」


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