Re:ha:Next step study ~鬼指導教官にもっとやられっぱなし?!



岡崎先生は口に手を当てておどけてみせる
まるで、あたしをいじる今朝の純夏ちゃん=お母さんみたいに

でも突然、岡崎先生の口から出てきた、“ぴよ〇ん”のほうが気になる


『・・・ぴ・・・ぴよ〇ん?』

「その箱の中、ひよこの形をしたプリン。ぴよ〇んチャレンジって最近、流行っているだろ?そのひよこを崩さずに持ち運ぶってやつ。」

『ぴよ〇ん・・・崩れやすいんですか?』

「そう。立体のひよこプリンだからな。俺はケーキ屋から持ってきたから、あとはウチまでまおが持っていくのだ。がんばれ、まおちゃん!」


岡崎先生はそう言いながら、床に置いたままだったあたしの荷物一式を軽々と持ち上げて、電車乗るから行くぞ・・と歩き始めた。

どうやら、どさくさまぎれに“ぴよ〇んチャレンジ”を始めてしまったあたし。ぴよ〇んを守るために、両手で持ったその白い箱をできるだけ揺らさないように、慎重に歩く。


“あのお姉さん、ぴよ〇んチャレンジしてるのかな? ぴよ〇んのお店のロゴ入りの箱持ってるし!”

“ホントだ~!!!! お姉さん、頑張ってぴよ〇ん、守ってあげてね~”

女子高生らしき2人組からすれ違い様に応援された。
まさか名古屋駅で声援を受けるとは
ぴよ〇んの知名度、抜群なんだ・・・・


「まお~、お前、ロボットみたいだぞ~」

「あ~、静かにして下さい!!!! 今、あり得ないぐらい集中しているんで。」


女子高生2人組の声援を受け、改めて今のこの任務を全うしようと思えたあたしの注意は手に持っている箱へ一点集中
もう周囲なんて気にする余裕はなく、体操の平均台の上を歩いているような視野の狭さ
もちろん両腕はぴよ〇ん入りの箱を持っているから動かせないし、歩きづらい


「まお~、改札口、ノロノロ歩くと、締め出し食らうぞ~」

ぴよ〇ん箱を両手で持っているから、切符を自動改札に通すのは、片手を箱から離さなければいけないんですからノロノロ歩きになるんです“


「まお~、お前が並んでいるのは、急行の乗車口。うちの最寄り駅は急行停まらないからこっちだぞ。」

実習中の焼肉屋の帰り道に、岡崎先生と話題になった駅なんです、ここ
例の、行先は多岐に渡っているのに、ホームは上下線各1本ずつしかないんです
しかも、あたしは地元民ではないので、乗車口なんて知りませんってば


「まっ、お~。線路の切り替えポイントは結構揺れるから、ぴよ〇ん、ピンチだぞ。確かこの辺りでそのポイントは・・・」

揺れることがわかっていて、ぴよ〇んチャレンジさせちゃダメでしょ!



「ぴよ〇ん、かわいいから、ぶさいくにするなよ、まお~。」


今の岡崎先生の、あたしへの関心度は
心配度0%
面白がり度100% の all or nothing
おまけに相変わらずの無茶ぶり度100%


『岡崎せんせい~、ぴよ〇んの美貌はあたしが守ります!』

いかにも彼らしくて、集中力が切れ始めたあたしまで、なんだかぴよ〇んチャレンジが面白くなってきた。


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