Re:ha:Next step study ~鬼指導教官にもっとやられっぱなし?!
「フロアの後ろのほうの先生、お静かに。お時間がなくなりましたが、あとひとつだけ私から岡崎先生に質問があります。」
ひとりはしゃいで目立ってしまっている絵里奈に注意をしながら、岡崎先生にそう声をかけた座長の先生。
時間がないという割にはなぜか笑顔。
一方、声をかけられた岡崎先生はさっきみたいな誰も寄せ付けないような空気は感じられなくなったものの、まだ緊張しているようにも見える。
「伊織のこういう異変、久しぶりに見るな~。神林さんの実習初日以来かもな。座長の質問内容によっては明日、院長に俺も一緒に注意されるんだろうな・・・研究会で何やってきたんだって・・・」
隣で溜息をついた松浦先生が苦笑いもこぼしている。
多分、今回の岡崎先生の演題発表は松浦先生も共同演者なはずだからだ。
それにしても、質問内容によっては・・ってとんでもない質問が来るのかな?
ハンドセラピイの世界でバリバリやっている人しかわからないような難しい質問なのかな?
まさかの、婚姻届が手の中にあるあたしはそんなことを気にしている場合じゃないけどね・・・
とりあえず、岡崎先生と話をしなきゃ
“これが最後だ・・俺からは” の言葉の意味を・・・
「先程の演題発表の初めにあった、岡崎先生が謝意を示した先生・・・えっと・・・高山斐太リハビリテーション病院の神林真緒先生・・・もしかして、さっきのエム・エー・オー・アセスメントはこの神林先生の名前を頂いたものですか?」
「・・・そうです。」
えっ?
あたし?
しかも、あたし、この演題発表の出だしをちゃんと聞いてなかった
場所取りとかでバタバタしていたから・・・
「では、今後は神林先生の病院と提携しながらこの研究を進めていくということですか?」
「そういう話にはなってはいないです。でも、今後は・・・・」
あたしも聞いてない
岡崎先生のいる名古屋南桜総合病院との提携話とかは
「今後はあるんですか?」
「研究での提携ではなくて・・・今後はずっと一緒に彼女の隣で歩んでいきたい・・・そう思っています。」
今後はずっと・・・
あたしの隣で歩んでいきたい
・・・岡崎先生はそう思っている
もうこれが最後かもって思わされた相手に
そんなことを言われて
ホントに泣きそう
自分が当事者なんて思えないぐらい