買われた娘は主人のもの

執事長の持ってきたもの

 朝。
 コリーンはエイミのいる部屋に来ると、小声だがとても興奮したようにエイミに言った。

「聞いてエイミ…!テイル様がとても大きなものを持っていたの…!!すごく気にならない…!!?」

 もったいぶったように言い一人はしゃぐコリーン。エイミは目を輝かせ、自分も胸を躍らせながらコリーンに合わせるように小声で尋ねる。

「コリーン様、テイル様が持っていたのはどのくらい大きなものだったんですか…!?」

「それが、テイル様が持っていらしたのはね…!」

 大男のバラドもまだ来ない今のうち。
 興奮しながらコリーンがエイミに教えようとしたその時、

トントン

というノックのあと、

「コリーン」

そう、ドアの外から例のテイルの声がする。

「…テイル様…!?」

 コリーンは来たばかり。
 時間も、いつもこの部屋に来るような頃で遅くなってはいない。

 コリーンは急いで扉の側に寄り、外のテイルに応える。

「テイル様?申し訳ありませんが、まだお部屋のお掃除のし始めでして、娘の着替えも終わっていませんの」

 いつもの他人行儀の澄ました声でコリーンが言うと、執事長は少々焦るようにして返す。

「掃除はまだ構わない。用がある、開けさせろ」

 コリーンはエイミに向かって今日着る分の服を投げると、エイミは少々もたつきながらも急いでそれを身につける。

 それを確認してからコリーンが戸を開くと、大男のバラドが両手で抱えるほどの大きな箱を手にし、執事長のテイルとともに立っていた。
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