買われた娘は主人のもの
 テイルがいつものように部屋にやって来た。

 エイミは二人きりになるとテイルに笑顔で礼を言う。

「ありがとうございますテイル様…!御主人様からこの子を置く許可を、私からも頂きました…!大切にいたします…!!」

 するとテイルは、初めてエイミを見てフワリと笑い、「そうか」と言って穏やかに頷いた。

(初めて笑ってくださった…!こうして笑うのを見ると、テイル様は本当は優しい方みたい…)

 エイミの心は少しだけ軽くなった。

「食事だ。またここで取れ」

「はい、テイル様。」
 膝に乗せられたエイミは恥ずかしそうに顔を赤らめたまま食事を摂り始め、テイルはその様子を間近で見つめていた。



 テイルはその後も、日中にエイミの様子を少しの間見ていたり、朝には膝に座らせて食事をする様子を眺める。

 執事長としての役割があるはずにも関わらず、彼は毎日欠かさずエイミのもとにやってきた。

 彼なりに自分を気にしてくれていたのだと分かった。
 エイミはますますもらったぬいぐるみを可愛がり、朝起きたあとや食事を摂るときなど、部屋にいるときは膝に乗せておくほどになった。


 しかし主人は相変わらず日中に姿を見せることはなく、夜になればエイミのもとへ。エイミは未だに慣れない主人の夜の相手を、何とか耐えながらやり過ごしていた。
< 35 / 67 >

この作品をシェア

pagetop