買われた娘は主人のもの

コリーンの優しさ

 どんなにテイルを想っても、主人のために買われた自分はテイルを好きになってはいけない。
 しかし一度意識した自分の気持ちは止まらなかった。

 エイミはベッドに顔を埋めてしばらく眠れずにいたが、そのうち疲れのせいかそのまま眠りに落ちていった。


 気付くと、コリーンがベッドのすぐそばにいてエイミの頭を撫でている。

「…コリーン様…」

 ようやく起きたエイミの顔を見て、安心したようにニコリと笑うコリーン。

「大丈夫よ。あの方も、あなたを休ませるようにっておっしゃっていたから」

「コリーン様…私…テイル様に、心配までかけて…」

 コリーンは苦笑する。そしてまだ温かい皿をそばに置いて言った。

「今は心配をしなくていいの。…パン粥なら食べられそう?少し食べておきなさい」

「…コリーン様…私…」

 ベッドに横になったまま弱々しく縋り付くエイミを、コリーンは優しく抱きしめ返した。

「今は考えてはだめよ…少し食べて、また眠りなさい…」

 コリーンはエイミに声を掛けて身体をそっと起こし、パン粥をさじで口に少しずつ入れた。

「弱った可愛い妹の面倒を見るのは姉の役目だもの。ゆっくり噛んで、しっかり飲み込んで?」

 エイミはコリーンに甘えることにし、体に染み渡るほんのり甘い粥に少しずつ癒されていった。
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