買われた娘は主人のもの
エイミがバスルームに入る頃、バラドがコリーンに声を掛ける。
「テイルが娘と話すと言っている。連れて行くぞ」
彼はエイミの手首を掴む。
バラドに連れられたエイミが振り返ると、コリーンは心配そうな表情でこちらを見ていた。
いつもの部屋に戻ると、バラドはエイミを壁越しに追いやった。
「っ…!」
エイミは怯えたが、バラドは珍しくじっと自分を見て告げる。
「テイルは駄目だ。諦めろ」
「…え…」
バラドに何を言われたのかが分からない。
しかし怯えた掠れ声でエイミは返す。
「…テイル様を、諦める…?」
「そうだ。もう遅い、お前は受け入れられないはずだ」
受け入れられない、というのは、テイルに愛する者として受け入れてはもらえない、という意味だろうか?
「…わ、分かっています…!!」
エイミは涙をこらえながらバラドに向かった。
「テイル様は、私には不相応です…!で、でも…私の、お屋敷での生活を乗り越えて来られたのは…コリーン様と、テイル様のおかげなんです…!!私を気にかけて下さったテイル様…私の、テイル様への想いを忘れるなんて、出来ません…!!」
いつも無表情なバラドの表情が一瞬歪んだ気がした。
「…何も知らずに…。お前は後悔することになるだろう。そしてあの方もだ、もう遅い」
バラドは出ていった。部屋には鍵をかけて。
「…。」
あの方。
テイルのことだろうか?それともテイルを屋敷に置く主人のことだろうか?
テイルが自分を受け入れてくれないというなら、『もう遅い』とはどういう意味なのか。
エイミがどんなに考えても、何も答えは見つからなかった。
「テイルが娘と話すと言っている。連れて行くぞ」
彼はエイミの手首を掴む。
バラドに連れられたエイミが振り返ると、コリーンは心配そうな表情でこちらを見ていた。
いつもの部屋に戻ると、バラドはエイミを壁越しに追いやった。
「っ…!」
エイミは怯えたが、バラドは珍しくじっと自分を見て告げる。
「テイルは駄目だ。諦めろ」
「…え…」
バラドに何を言われたのかが分からない。
しかし怯えた掠れ声でエイミは返す。
「…テイル様を、諦める…?」
「そうだ。もう遅い、お前は受け入れられないはずだ」
受け入れられない、というのは、テイルに愛する者として受け入れてはもらえない、という意味だろうか?
「…わ、分かっています…!!」
エイミは涙をこらえながらバラドに向かった。
「テイル様は、私には不相応です…!で、でも…私の、お屋敷での生活を乗り越えて来られたのは…コリーン様と、テイル様のおかげなんです…!!私を気にかけて下さったテイル様…私の、テイル様への想いを忘れるなんて、出来ません…!!」
いつも無表情なバラドの表情が一瞬歪んだ気がした。
「…何も知らずに…。お前は後悔することになるだろう。そしてあの方もだ、もう遅い」
バラドは出ていった。部屋には鍵をかけて。
「…。」
あの方。
テイルのことだろうか?それともテイルを屋敷に置く主人のことだろうか?
テイルが自分を受け入れてくれないというなら、『もう遅い』とはどういう意味なのか。
エイミがどんなに考えても、何も答えは見つからなかった。