7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
「す、すごい……。信じられない……」

部屋の中をぐるりと見渡すと眩暈がしそうになる。

とてもこれが現実とは思えない。

まるでお姫様になってしまったかのような錯覚を覚える。

「今日から一週間、この家でお困りのことなどありましたらお気軽に私にお尋ねください。今日はお疲れかと思います。お食事までごゆっくりお過ごしください」

「ま、マリア！！ちょっと待って！」

頭を下げて部屋を出て行こうとするマリアを引き止める。

「少し聞きたいことがあるの。いい？」

「ええ、もちろんです」

私はマリアをソファに座らせると、疑問をぶつけた。

「私、永斗さんとは今日初めて会ったの。その話は聞いてる？」

「ええ、永斗様から聞きました。沙羅様にパーティの協力をしてもらえると伺っています」

「そう。知ってるのね。それは一体どういうことなの？」

マリアはポケットからメモ帳を取り出してペンを走らせた。

「永斗様はロバート一家の長男として生まれました。次男の海様とはお母様が違います。どちらのお母様も日本人です」

分かりやすい様に家族構成をジェノグラムで表す。

「永斗様のお父様は今や世界長者番付に名を連ねる大富豪です。会社経営だけでなく投資家としても有名なお方です。現在、永斗様が石油会社の社長、海様が金融会社のCEOとなっていて、お父様はグループ全体の会長となっています。ですが、近年病気がちで会長職を息子の永斗さんに明け渡すと言われています」

「そうなんですね……」

社長とかCEOとか会長とかもう何が何だかわからない。

「ですが、そのことで永斗様と海様の間でいさかいが起こってしまって……。今、お二人は良い関係にあるとは言えません」

『人間は必ず裏切る。それが例え家族だとしても』

ふとさっきの永斗さんの言葉が頭を過った。

永斗さんはどうやらとても複雑な家庭で育ったようだ。
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