7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
「会長は今すぐに全ての経営権を永斗様に譲渡したいとお考えのようですが、永斗様が独身なことを危惧しています」

「もしかしてパーティで私をフィアンセとして紹介しようとしているのってそれが理由?」

「はい。そのパーティにはお父様だけでなく取引先の人間も大勢やってきます。そこで、沙羅様というフィアンセがいると周知して既成事実を作ってしまうつもりなんでしょう」

「それじゃあ、会社の経営権が欲しいために私を利用しようとしているということ?」

お金持ちの考えることは分からない。そこまでして会社を自分のものにしたいのだろうか。

それに、永斗さんは長男だ。そこまで急がなくてもいつかは全ての経営権を手にいられるはずだ。

「言葉は悪いですが、そういうことになります」

マリアは申し訳なさそうな表情を浮かべた。

「でも、どうして永斗さんはそこまで焦っているの?」

「問題は弟の海様にあります。海様は虎視眈々と会長職を狙っているんです。そのために永斗様の足を引っ張ろうと躍起になっています」

マリアの表情は何故か硬い。

「弟の海さんってどういう人なの?」

「海様は……暴君です。自分に刃向かおうとする者には決して容赦はしません」

「どういうこと?」

「もし、長男の永斗様ではなく、次男の海様が会長職に就けば私たちは確実に仕事を失います」

マリアは真っ青な顔で私の手をギュッと握った。

「――沙羅様、お願いします。永斗様に……私たちにどうぞお力を貸してください」
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