7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
「なにこれ。私ってば夢でも見ているの?」
マリアが出て行った後、一人部屋に残された私は思わず呟いた。
初めて来た海外で見ず知らずの石油王に助けられて大豪邸に連れてこられて、数日後のパーティに彼のフィアンセとして参加するなんてとても現実とは思えない。
私は思っている以上にとんでもないことに巻き込まれてしまっているようだ。
じっとしていることができずに、2階の大きな窓から外を見下ろす。
「あ……」
誰かと電話で話をしながら外に出てきた永斗さんが慌ただしく車に乗り込む。
先程とは違う高級車がならだかに動き出し、あっという間に遠ざかっていく。
私とはあまりにもかけ離れた生活を送る彼は別世界の住人だ。
そっと視線を逸らしてベッドに腰かける。
『永斗様から自由に使うようにと言い預かっております』
マリアに渡されたスマートフォンを手に取り、教わった通りにスマホを操作する。
「0」ボタンを長押ししてから「+」を入力して日本の国番号の「81」を入力する。
そして、電話番号の「0」を覗いた電話番号を入力し発信ボタンをタップする。
5回目のコールでようやく電話が繋がった。
『もしもし……?』
不信感丸出しの茜の声が鼓膜を震わせる。
「もしもし?私だけど」
『え、オレオレ詐欺……?いや、でも女か……』
「違う違う、私よ、私。沙羅!」
『え!沙羅お姉ちゃん!?電話番号違くない!?』
「うん、ちょっと色々あってね」
『ふぅん。で、無事ニューヨークに着いたの?』
「なんとかね」
今、見ず知らずの人の家にいてその人のスマホから連絡をしていると言ったら茜はひっくり返るに違いない。
『お姉ちゃんは人がいいから変なことに巻き込まれないように気を付けなよ』
「あはは、そうだね。気を付けます……」
まさに今巻き込まれているとは言えずに笑って誤魔化す。
すると、茜がハッと声を上げた。
『そういえば、さっき大騒ぎだったんだよ!突然、旅館に出資したいっていう連絡があったんだって。しかも、海外の人から。英語しゃべれるのってお姉ちゃんだけだし、おばさんたち大パニックだったんだから』
「え、海外って……?」
『名前なんだっけ。えっと、ロックじゃなくてロッキーじゃなくて……』
このタイミングで出資をしたいなどと申し出る人は一人しかいない。
彼は私の逃げ道を塞いだのだ。あまりにも仕事が早すぎる。
「ロバート?」
『そうそう!ロバートさんって人の代理人とかなんとか言ってたらしいよ。ていうか、なんで知ってんの?』
「たまたまよ。ごめん、茜。電話代高いからもう切るね」
『うん。ニューヨーク旅、楽しんできてね!』
「ありがとう」
電話を切ると私はハァと盛大な溜息をついた。
こうなったらもう腹を決めるしかない。
―ー誰にもバレずに一週間、168時間、彼のフィアンセになってやる。
マリアが出て行った後、一人部屋に残された私は思わず呟いた。
初めて来た海外で見ず知らずの石油王に助けられて大豪邸に連れてこられて、数日後のパーティに彼のフィアンセとして参加するなんてとても現実とは思えない。
私は思っている以上にとんでもないことに巻き込まれてしまっているようだ。
じっとしていることができずに、2階の大きな窓から外を見下ろす。
「あ……」
誰かと電話で話をしながら外に出てきた永斗さんが慌ただしく車に乗り込む。
先程とは違う高級車がならだかに動き出し、あっという間に遠ざかっていく。
私とはあまりにもかけ離れた生活を送る彼は別世界の住人だ。
そっと視線を逸らしてベッドに腰かける。
『永斗様から自由に使うようにと言い預かっております』
マリアに渡されたスマートフォンを手に取り、教わった通りにスマホを操作する。
「0」ボタンを長押ししてから「+」を入力して日本の国番号の「81」を入力する。
そして、電話番号の「0」を覗いた電話番号を入力し発信ボタンをタップする。
5回目のコールでようやく電話が繋がった。
『もしもし……?』
不信感丸出しの茜の声が鼓膜を震わせる。
「もしもし?私だけど」
『え、オレオレ詐欺……?いや、でも女か……』
「違う違う、私よ、私。沙羅!」
『え!沙羅お姉ちゃん!?電話番号違くない!?』
「うん、ちょっと色々あってね」
『ふぅん。で、無事ニューヨークに着いたの?』
「なんとかね」
今、見ず知らずの人の家にいてその人のスマホから連絡をしていると言ったら茜はひっくり返るに違いない。
『お姉ちゃんは人がいいから変なことに巻き込まれないように気を付けなよ』
「あはは、そうだね。気を付けます……」
まさに今巻き込まれているとは言えずに笑って誤魔化す。
すると、茜がハッと声を上げた。
『そういえば、さっき大騒ぎだったんだよ!突然、旅館に出資したいっていう連絡があったんだって。しかも、海外の人から。英語しゃべれるのってお姉ちゃんだけだし、おばさんたち大パニックだったんだから』
「え、海外って……?」
『名前なんだっけ。えっと、ロックじゃなくてロッキーじゃなくて……』
このタイミングで出資をしたいなどと申し出る人は一人しかいない。
彼は私の逃げ道を塞いだのだ。あまりにも仕事が早すぎる。
「ロバート?」
『そうそう!ロバートさんって人の代理人とかなんとか言ってたらしいよ。ていうか、なんで知ってんの?』
「たまたまよ。ごめん、茜。電話代高いからもう切るね」
『うん。ニューヨーク旅、楽しんできてね!』
「ありがとう」
電話を切ると私はハァと盛大な溜息をついた。
こうなったらもう腹を決めるしかない。
―ー誰にもバレずに一週間、168時間、彼のフィアンセになってやる。