7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
店に入ると商品には目もくれず店の奥の階段を上がり専用ルームへ通された。

「パーティに着ていくドレスが欲しい。金額は問わない。彼女に似合いそうなものを全て出してくれ」

上客だけが通されるというVIPルームは私の想像をはるかに超えた場所だった。

部屋の中は広くソファやテーブルも完備されている。

永斗さんがソファに腰かけると、慌てたようにスタッフがシャンパングラスを用意しはじめる。

「準備ができるまでここに座っていろ」

部屋の真ん中で立ち尽くす私はおずおずとソファに腰かける。

「ま、マリア。マリアも隣に座って!」

「いえ、私は……」

永斗さんに気を遣ってかマリアは首を横に振る。

「お願い。一人だと心細いの。ねっ、いいですよね?」

隣に悠然と座る永斗さんに尋ねると、呆れたように「勝手にしろ」と言った。

私は立ち上がってマリアの手を引き隣に座ってもらった。

「お前たち、ずいぶん仲良くなったんだな」

「ええ。沙羅様の付き人になれて幸せです」

呆れたように言う永斗さんにマリアはにっこりと笑って応えた。
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