7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
たくさんのドレスを試着し、そのたびに永斗さんの指示を待つ。
「……何か物足りない。もう少し華美な物を用意してくれ」
永斗さんの要望に大勢のスタッフが総出で動き出す。
私が試着室から出るたびにスタッフの女性たちは私を褒めちぎり、対照的に永斗さんは眉間に皺を寄せて首を横に振った。
「ゆっくり選びたい。少し席を外してくれ」
永斗さんの言葉に、VIPルームにいたスタッフたちがぞろぞろと部屋を後にする。
正直ほっとしていた。大勢の人に見られながら服を選ぶ習慣は私にはない。
「次はこのドレスだ」
赤いマーメイドドレスを指さした永斗さん。
このままじゃ一生首を縦に振ってもらえないんじゃないかと不安になりながらドレスを手に取ると、マリアのスマホが鳴りだした。
「すみません、すぐに戻ります」
「ま、マリア……」
私を置いていかないで――!!
試着室には私と永斗さんだけが残された。
気まずさを覚えながらも真っ赤なマーメイドドレスに身を包み試着室を出ると永斗さんの目が大きく見開かれた。
「どうですかね……。胸元がすごく開いているのでなんか恥ずかしいです……」
今まで着たどのドレスよりも露出度が高く、体にフィットするデザインだ。
永斗さんがソファから立ち上がり、私の全身を見て回る。
「うっ……」
絡みつくような熱い視線に全身が熱くなる。
心臓がドクンドクンっと波打つような感覚に私は思わず永斗さんから逃げるようにうつむいた。
「……っ」
すると、顎をクイッと掴まれて強制的に顔を持ち上げられた。
「頬が赤い。何を恥ずかしがっているんだ」
「やめて。離して下さい」
「俺を見るんだ」
強い口調で言われ彼の方を見る。
灰色の瞳が私に向けられているだけで、悔しいことに私の心はひどくかき乱される。
その理由は分からない。ただ、初めて目が合った瞬間にも私は永斗さんに恐怖を覚えた。
抗えなくなる予感が確かにあった。
今まで平凡に生きてきた私の人生を一変させてしまうようなことを彼がもたらすような気がしたんだ。
「こんな姿、昨日会ったばかりのあなたに見られて恥ずかしくないわけないじゃないですか!」
「その反応、まさか男を知らないわけはないだろ?」
「だ、だったらなんですか!?あ、あなたには関係ありません――!!」
永斗さんの言葉に動揺し、明らかな反応をしてしまった。
これじゃ永斗さんの言葉を肯定しているのと同じこと。
「まさか、そうなのか?」
「……だから、昨日言いましたよね?私にはあなたのフィアンセの振りは無理だって。私があなたの求める相手になれるはずがないんです」
「なぜそう言い切れるんだ」
「お恥ずかしい話ですが、私にはろくな恋愛経験がありません」
そう言うと永斗さんは私の顎から手を離した。
呆れたのかもしれない。この年になってそういう経験のない私に失望したに違いない。
「それは俺にとっていい情報だ。男を知らないのは大いに歓迎だ」
「どうしてですか……?」
男性と交わったことで女性としての魅力が生まれる部分もあるはずだ。
それなのにどうして……?
「お前を俺色に染めることができるだろう」
満足げに言うと、永斗さんは私の首筋にそっと触れた。
「男を知らないなら俺が教えればいいだけの話だ」
「なっ……」
「沙羅、お前は面白い。なぜか興味をそそられる」
永斗さんは私の名前を呼ぶと、伏し目がちに私を見つめた。
その瞳は私を惑わす。
こんな風に見つめられたら女性なら誰でも魅了されてしまうに違いない。
彼から逃げるように後ずさりすると永斗さんは私に近付いてくる。
追い詰められて鏡に背中がぶつかった。
ひんやりとした鏡の感触が火照る体を冷やしてくれる。
永斗さんは前腕を鏡に押しつけてさらに体を近付けようとする。
私に覆いかぶさるように体を寄せてくる。
「や、やめて……」
頭が変になりそうだ。ほとんど息も出来ず酸欠状態だ。
「その反応は逆効果だ」
私の反応を伺うようにじっと見つめる永斗さんの視線は私を貫くように強い。
この人にはどうやったって抗えない不思議な魅力がある。
彼の手のひらが私の腰に触れた途端、全身に稲妻が走ったよう痺れる。
「だ、ダメです!」
両手で胸を押し返して叫んだ瞬間、「ただいま戻りました~」と陽気なマリアの声がした。
「ま、マリア!今すぐ試着室に入ってきて!!」
私が叫ぶと、永斗さんは小さく息を吐き私から距離をとった。
「失礼します。……わぁ、沙羅様お綺麗です……!!って、あれ?なんだか雰囲気が……?何かありましたか?」
「ない!!全然ない!!何もないの……!!」
顔の前でブンブンと手を振る私をマリアは不思議そうに眺めている。
「それにしても、よくお似合いです!!」
マリアが感嘆の声を上げる。
「沙羅様は細身なのに出るところはきちんと出ているんですね!わぁ……脱がせてビックリのタイプ!すごくセクシーです!」
「そ、そんな!やめてよ、マリア」
「顔を真っ赤にして照れる沙羅様はとっても可愛いですね」
マリアは知らない。この試着室の中で私が永斗さんにされたことを。
あのままマリアが入ってこなかったら私、永斗さんと……。
マリアの言葉にさらに顔を赤らめる私を見て永斗さんは呆れたように鼻で笑った。
「……何か物足りない。もう少し華美な物を用意してくれ」
永斗さんの要望に大勢のスタッフが総出で動き出す。
私が試着室から出るたびにスタッフの女性たちは私を褒めちぎり、対照的に永斗さんは眉間に皺を寄せて首を横に振った。
「ゆっくり選びたい。少し席を外してくれ」
永斗さんの言葉に、VIPルームにいたスタッフたちがぞろぞろと部屋を後にする。
正直ほっとしていた。大勢の人に見られながら服を選ぶ習慣は私にはない。
「次はこのドレスだ」
赤いマーメイドドレスを指さした永斗さん。
このままじゃ一生首を縦に振ってもらえないんじゃないかと不安になりながらドレスを手に取ると、マリアのスマホが鳴りだした。
「すみません、すぐに戻ります」
「ま、マリア……」
私を置いていかないで――!!
試着室には私と永斗さんだけが残された。
気まずさを覚えながらも真っ赤なマーメイドドレスに身を包み試着室を出ると永斗さんの目が大きく見開かれた。
「どうですかね……。胸元がすごく開いているのでなんか恥ずかしいです……」
今まで着たどのドレスよりも露出度が高く、体にフィットするデザインだ。
永斗さんがソファから立ち上がり、私の全身を見て回る。
「うっ……」
絡みつくような熱い視線に全身が熱くなる。
心臓がドクンドクンっと波打つような感覚に私は思わず永斗さんから逃げるようにうつむいた。
「……っ」
すると、顎をクイッと掴まれて強制的に顔を持ち上げられた。
「頬が赤い。何を恥ずかしがっているんだ」
「やめて。離して下さい」
「俺を見るんだ」
強い口調で言われ彼の方を見る。
灰色の瞳が私に向けられているだけで、悔しいことに私の心はひどくかき乱される。
その理由は分からない。ただ、初めて目が合った瞬間にも私は永斗さんに恐怖を覚えた。
抗えなくなる予感が確かにあった。
今まで平凡に生きてきた私の人生を一変させてしまうようなことを彼がもたらすような気がしたんだ。
「こんな姿、昨日会ったばかりのあなたに見られて恥ずかしくないわけないじゃないですか!」
「その反応、まさか男を知らないわけはないだろ?」
「だ、だったらなんですか!?あ、あなたには関係ありません――!!」
永斗さんの言葉に動揺し、明らかな反応をしてしまった。
これじゃ永斗さんの言葉を肯定しているのと同じこと。
「まさか、そうなのか?」
「……だから、昨日言いましたよね?私にはあなたのフィアンセの振りは無理だって。私があなたの求める相手になれるはずがないんです」
「なぜそう言い切れるんだ」
「お恥ずかしい話ですが、私にはろくな恋愛経験がありません」
そう言うと永斗さんは私の顎から手を離した。
呆れたのかもしれない。この年になってそういう経験のない私に失望したに違いない。
「それは俺にとっていい情報だ。男を知らないのは大いに歓迎だ」
「どうしてですか……?」
男性と交わったことで女性としての魅力が生まれる部分もあるはずだ。
それなのにどうして……?
「お前を俺色に染めることができるだろう」
満足げに言うと、永斗さんは私の首筋にそっと触れた。
「男を知らないなら俺が教えればいいだけの話だ」
「なっ……」
「沙羅、お前は面白い。なぜか興味をそそられる」
永斗さんは私の名前を呼ぶと、伏し目がちに私を見つめた。
その瞳は私を惑わす。
こんな風に見つめられたら女性なら誰でも魅了されてしまうに違いない。
彼から逃げるように後ずさりすると永斗さんは私に近付いてくる。
追い詰められて鏡に背中がぶつかった。
ひんやりとした鏡の感触が火照る体を冷やしてくれる。
永斗さんは前腕を鏡に押しつけてさらに体を近付けようとする。
私に覆いかぶさるように体を寄せてくる。
「や、やめて……」
頭が変になりそうだ。ほとんど息も出来ず酸欠状態だ。
「その反応は逆効果だ」
私の反応を伺うようにじっと見つめる永斗さんの視線は私を貫くように強い。
この人にはどうやったって抗えない不思議な魅力がある。
彼の手のひらが私の腰に触れた途端、全身に稲妻が走ったよう痺れる。
「だ、ダメです!」
両手で胸を押し返して叫んだ瞬間、「ただいま戻りました~」と陽気なマリアの声がした。
「ま、マリア!今すぐ試着室に入ってきて!!」
私が叫ぶと、永斗さんは小さく息を吐き私から距離をとった。
「失礼します。……わぁ、沙羅様お綺麗です……!!って、あれ?なんだか雰囲気が……?何かありましたか?」
「ない!!全然ない!!何もないの……!!」
顔の前でブンブンと手を振る私をマリアは不思議そうに眺めている。
「それにしても、よくお似合いです!!」
マリアが感嘆の声を上げる。
「沙羅様は細身なのに出るところはきちんと出ているんですね!わぁ……脱がせてビックリのタイプ!すごくセクシーです!」
「そ、そんな!やめてよ、マリア」
「顔を真っ赤にして照れる沙羅様はとっても可愛いですね」
マリアは知らない。この試着室の中で私が永斗さんにされたことを。
あのままマリアが入ってこなかったら私、永斗さんと……。
マリアの言葉にさらに顔を赤らめる私を見て永斗さんは呆れたように鼻で笑った。