7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
「マミー、マミー!!」

ミラちゃんはマリア譲りの潤んだ青い瞳を涙で潤ませた。

「ミラちゃん、お姉ちゃんと一緒に遊ぼうか?」

永斗さんとマリアとは日本語で話せていたけど、ミラちゃんとはそう言うわけにはいかない。

身振り手振りでなんとかご機嫌を取ろうとするものの、見知らぬ場所へ置いて行かれたミラちゃんは不安そうな表情でマリアが出ていった扉を叩く。

なんでも揃っている大豪邸とはいえ子供の遊び道具は何もない。

だとしたら、体を使うしかない。

「そうだ。動物ごっこでもしよう!ミラちゃん、見て!がおぉぉぉ――!!」

フワフワなマットの上で四つん這いになり、ライオンの真似をする。

「ふぇぇ……」

けれど、あまりに本気でやりすぎたせいかミラちゃんは唇をワナワナと震わせて今にも泣きだしそうだ。

「セレクトが悪かったよね……。えっと、可愛い動物……ね、猫!?にゃぁぁーん」

猫の泣き声を上げながらハイハイの体勢で歩き回ると、ミラちゃんの顔に笑顔が浮かんだ。

よしっ、この調子……!全力で動物の真似をするしかない。

「ワンワンっ!!」

ミラちゃんが犬の泣き真似をする。

「あっ、それ犬だね!!他の動物さんもできるかな~?」

ミラちゃんがキャッキャと声をあげながら部屋中をハイハイで歩き回る。

私はホッと胸を撫で下ろしながらミラちゃんを不安にさせないように努めて明るく振舞った。
< 31 / 96 >

この作品をシェア

pagetop