7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
【永斗side】
「あぁ……見つかっちゃった」
弱々しい声と同時に、腕の中にいた沙羅の体が揺れ力なく寄りかかってきた。
「……沙羅?沙羅、どうした!?」
声をかけても反応は薄く、脱力している。
急いで沙羅の体を抱き上げてクローゼットから出してベッドに寝かせる。
「顔が赤い。熱があるのか……?」
そっとおでこに触れると、信じられないぐらい熱を帯びていた。
「サラ……?おねつ?」
ミラが不安そうに沙羅の顔を覗き込んでいる。
かくれんぼなどできる状態ではないはずなのに、無理をしていたに違いない。
「ミラ、こっちへおいで。沙羅なら大丈夫だ」
ミラを抱きしめ頭を撫でて落ち着かせると、すぐにスマートフォンを手に取り電話をかける。
「俺だ。急いでうちにきてくれ。……いいか、今すぐにだ」
専属の医師に連絡を入れると同時に部屋にマリアが飛び込んできた。
「遅くなって申し訳ありません!……え、沙羅様?」
ベッドで横になる沙羅に気付いてマリアが驚いたように声を上げる。
「熱が高い。これから医者が来てくれることになっている」
「そんな……。沙羅様……具合が悪いのにミラを預かってくれていたんですね……」
「沙羅はそういう人間だ。マリア、俺にできることはあるか?」
尋ねると、マリアは目を丸くした後ニコリと笑って言った。
「沙羅様のそばにいてあげてください」
ほどなくして到着した医師はニューヨーク内で名医と呼ばれる人物だった。
「疲労が原因でしょう。栄養をしっかりとってゆっくりと休ませてあげることが一番です」
「本当に疲労が原因なんだろうな?三十九度近い熱があるんだ。違う病気の可能性はないんだな?」
「もちろんです。心配いりませんよ」
医師はそう告げて部屋から出て行った。
「永斗様、今日はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。沙羅様とのパーティーの打ち合わせはいかがしましょうか?」
「沙羅がこんな状況ではできるはずがない。体調が回復してからにする」
「承知しました」
「母親の具合は大丈夫だったのか?」
「ええ。ぎっくり腰でしばらく安静にするようにとのことでした」
マリアは幼い頃に病気で父親を亡くしている。
だとしたら今家に母親は一人でいる。自由に動けなければ不便なこともたくさんあるだろう。
「そうか。それなら今日はもう帰っていい。今日中に明日からミラをみてくれるシッターも手配しておこう」
「そんなことまでしてもらうわけにはいきません……!沙羅様の看病だって私がしなくては……」
そこまで言いかけてマリアはハッとした表情で俺を見つめた。
「もしかして……」
「お前が言ったんだろう。沙羅のそばにいてやれと」
「永斗様……」
「午後の社内会議はリモートで参加する。一応、今だけは俺のフィアンセだからな。俺が面倒をみよう」
「……ふっ」
マリアがくすっと笑う。
「なにがおかしいんだ」
「心配で仕方ないからそばにいてあげたいって素直に言ってしまわれたらどうですか?」
「そんなことはない!」
「ふふふっ。永斗様は本当に不器用な人ですね」
「バカを言うな。俺は器用な人間だ」
「ええ、大抵のことは何でも器用にこなされます。容姿は抜群ですし、頭も良いし、仕事もできる。全てが完璧です。でも、沙羅様のこととなると話は別です」
「どういう意味だ」
「ご自分が一番よくご存知かと思いますよ。それでは、今日はお言葉に甘えて帰らせて頂きます。明日からまたよろしくお願いいたします。ほらっ、ミラ行くわよ」
ミラの手を引いて歩いていくマリア。
「ミラ、またいつでも遊びにおいで」
「うん!」
手を振るとミラは満面の笑みで手を振り返して部屋から出ていった。
「あぁ……見つかっちゃった」
弱々しい声と同時に、腕の中にいた沙羅の体が揺れ力なく寄りかかってきた。
「……沙羅?沙羅、どうした!?」
声をかけても反応は薄く、脱力している。
急いで沙羅の体を抱き上げてクローゼットから出してベッドに寝かせる。
「顔が赤い。熱があるのか……?」
そっとおでこに触れると、信じられないぐらい熱を帯びていた。
「サラ……?おねつ?」
ミラが不安そうに沙羅の顔を覗き込んでいる。
かくれんぼなどできる状態ではないはずなのに、無理をしていたに違いない。
「ミラ、こっちへおいで。沙羅なら大丈夫だ」
ミラを抱きしめ頭を撫でて落ち着かせると、すぐにスマートフォンを手に取り電話をかける。
「俺だ。急いでうちにきてくれ。……いいか、今すぐにだ」
専属の医師に連絡を入れると同時に部屋にマリアが飛び込んできた。
「遅くなって申し訳ありません!……え、沙羅様?」
ベッドで横になる沙羅に気付いてマリアが驚いたように声を上げる。
「熱が高い。これから医者が来てくれることになっている」
「そんな……。沙羅様……具合が悪いのにミラを預かってくれていたんですね……」
「沙羅はそういう人間だ。マリア、俺にできることはあるか?」
尋ねると、マリアは目を丸くした後ニコリと笑って言った。
「沙羅様のそばにいてあげてください」
ほどなくして到着した医師はニューヨーク内で名医と呼ばれる人物だった。
「疲労が原因でしょう。栄養をしっかりとってゆっくりと休ませてあげることが一番です」
「本当に疲労が原因なんだろうな?三十九度近い熱があるんだ。違う病気の可能性はないんだな?」
「もちろんです。心配いりませんよ」
医師はそう告げて部屋から出て行った。
「永斗様、今日はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。沙羅様とのパーティーの打ち合わせはいかがしましょうか?」
「沙羅がこんな状況ではできるはずがない。体調が回復してからにする」
「承知しました」
「母親の具合は大丈夫だったのか?」
「ええ。ぎっくり腰でしばらく安静にするようにとのことでした」
マリアは幼い頃に病気で父親を亡くしている。
だとしたら今家に母親は一人でいる。自由に動けなければ不便なこともたくさんあるだろう。
「そうか。それなら今日はもう帰っていい。今日中に明日からミラをみてくれるシッターも手配しておこう」
「そんなことまでしてもらうわけにはいきません……!沙羅様の看病だって私がしなくては……」
そこまで言いかけてマリアはハッとした表情で俺を見つめた。
「もしかして……」
「お前が言ったんだろう。沙羅のそばにいてやれと」
「永斗様……」
「午後の社内会議はリモートで参加する。一応、今だけは俺のフィアンセだからな。俺が面倒をみよう」
「……ふっ」
マリアがくすっと笑う。
「なにがおかしいんだ」
「心配で仕方ないからそばにいてあげたいって素直に言ってしまわれたらどうですか?」
「そんなことはない!」
「ふふふっ。永斗様は本当に不器用な人ですね」
「バカを言うな。俺は器用な人間だ」
「ええ、大抵のことは何でも器用にこなされます。容姿は抜群ですし、頭も良いし、仕事もできる。全てが完璧です。でも、沙羅様のこととなると話は別です」
「どういう意味だ」
「ご自分が一番よくご存知かと思いますよ。それでは、今日はお言葉に甘えて帰らせて頂きます。明日からまたよろしくお願いいたします。ほらっ、ミラ行くわよ」
ミラの手を引いて歩いていくマリア。
「ミラ、またいつでも遊びにおいで」
「うん!」
手を振るとミラは満面の笑みで手を振り返して部屋から出ていった。