7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
ベッドで横になった沙羅は両手で顔を覆った。
「私ってどうしていつもこうなんだろう……」
沙羅の肩が震えている。俺は枕元にそっと腰かけた。
「いつも失敗ばっかりして周りの人に迷惑をかけてしまう……。今日だって永斗さんに仕事を抜けてきてもらっているのにそれなのに……」
「俺は迷惑をかけられているとは思っていない。むしろ、お前に迷惑をかけているのは俺のほうだ」
そっと沙羅の髪を撫でる。猫のようにフワフワの柔らかい髪はいつまででも触っていられる。
「これじゃ契約違反です……」
初めて会った日に『私、ちゃんと約束は守ります!』と啖呵を切った沙羅の強いまなざしを思い出す。
あの言葉が嘘ではないと直感した。
人間は必ず裏切る。
そう思っていた俺がほんの一瞬だけ初対面の彼女の言葉に揺らいでしまった。
あの時、もしかしたら彼女は本当に俺を裏切らないかもしれないと思った。
それと同時にそんな淡い期待を抱きそうになる自分を心の中で罵った。
……今思えばあの直感は当たっていた。
彼女のような人間に俺は今まで一度も出会ったことがない。
そして、これから先も出会えるとは思えない。
沙羅ほど真っ直ぐな人間はそうそういない。
けれど、一週間後沙羅は日本へ戻る。
本音を言えば返したくなどない。もっと彼女を知りたいという気持ちが日を追うごとに膨らんでいる。
「ごめんなさい……」
「謝るな。お前は何も悪くない」
頬から耳元に流れ落ちる涙を俺はそっと指で拭った。