7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
「あぁ……。もう終わった。全部終わった……」

頭を抱える私を見て男性はフッとあざけるように鼻で笑った。

「ずいぶん困っているようだな」

「はい……。お金も荷物も全部なくなっちゃって……。これから警察署に行ってきます……」

すると、突然顎をクイッと掴まれて顔を持ち上げられた。

「え……？な、なんですか？」

じっくりと舐めるように顔を見つめられて思わず声を漏らす。

「悪くない。磨けばさらに光りそうだ」

至近距離で見つめ合う。

男性はハーフなのかもしれない。アジア人のように見えるものの、瞳は濃いグレー色だ。

今まで出会ったことがないほどの美形だ。

人形のように美しい顔。でも、その表情からは人形と同じようになんの感情も感じられない。

そのためか男性からは酷く冷めた印象を受ける。

「それはどういう……」

「――俺がお前を助けてやろう」

その言葉に私は思わずぱあっと表情を明るくした。

「本当ですか！？警察署までのルートを教えてもらえたら助かります！それから、日本大使館にも行きたくて……」

「分かった。ついて来い」

「……はい！！」

男性の言葉に私は素直に従った。
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