7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
「さ、沙羅様……!なんて素敵なんでしょう……!とってもとってもお綺麗です!!」

「マリア、やめて。褒めすぎよ。それにこれは私がっていうより、プロの力だと思うの」

鏡に映った私はまるで別人のような華やかさがあった。

胸元の大きく開いた赤いマーメイドに身を包み、高いヒールを履いているせいか抜群にスタイルが良く見える。

それもそのはずだ。ドレスを着るとき、胸を極限まで持ち上げられて胸は何倍増しにもなり、お腹はコルセットで締め上げられてとんでもないくびれまで完成した。

メイクも日本とは違い、コンシーラーとシェーディングを使い立体的な顔になっている。

ドレスに合うように華美なメイクを施されたことによって笑ってしまうレベルに変貌した。

そのとき、コンコンッと部屋の扉がノックされた。

マリアが扉を開けると、そこにいたのは黒いタキシード姿の永斗さんが立っていた。

目が合った瞬間、永斗さんがごくりと唾を飲みこんだ。

私たちは互いに見つめ合ったまま身動き一つとれない。

なんて素敵なんだろう……。男性に見惚れてしまうことなんて今まで一度もなかったのに。

どうやったって目を離せない圧倒的な魅力に私は言葉なく立ち尽くすことしかできない。

「ーー沙羅と二人っきりにしてくれ」

沈黙を破ったのは永斗さんだった。

マリアやメイクスタッフがおずおずと永斗さんに頭を下げて部屋から出て行く。

扉が閉まった瞬間、部屋の中が静まり返る。

自分の心臓の音が永斗さんに聞こえてしまうかもしれないと心配になるぐらい大きな音を立てて鳴っていた。
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