7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
第六章 注がれた愛
永斗side
「―ー沙羅がいないだと!?今すぐあたりを探すんだ」
病室を出て行った沙羅を追いかけることができず仕方なくSPに病院の前で沙羅が出てくるのを待つようにと指示を出した。
明らかに様子のおかしい沙羅を一人にすることははばかられた。
『いくら待っても沙羅様らしき人がでてきません』
けれど、SPから電話を受けた俺は愕然とした。
すぐに辺りを探させたものの沙羅らしき人物は見当たらない。
医師に無理を言って早朝に病院を出て家へ帰るも、沙羅の姿はなかった。
すぐにマリアに連絡をするも、寝耳に水といった様子で驚いていた。
「どういうことだ……。沙羅はどこにいってしまったんだ」
「昨日、病院で会ったときも永斗様がお怪我をしたことに動揺はしていましたが、おかしな様子はありませんでした」
部屋の中で俺は力なくソファに座り込む。あまりの虚無感に呆然としてしまう。
心にポッカリと穴が開いてしまったようだ。
けれど、おかしい点がいくつもあった。病院は郊外にある。
タクシーかバスを使わなければ移動にも困るはずだ。それに、昨日は粉雪が舞うほど寒い夜だった。
そんな悪天候の中、徒歩で移動するとは考えずらい。
それに、夜中に女性が一人で歩いていれば目立つはずだ。病院の周りを大勢の人間に探させても見つからなかったということは、沙羅がすでに何らかの方法でどこかへ移動しているとしか考えられない。
「こんなこと考えたくはありませんが……海様の仕業でしょうか……?」
「やはりマリアもそう思うか?」
俺の問いにマリアは複雑そうな顔で頷いた。
「私達に黙って姿を消したのは何か特別な事情があったとしか思えないのです。沙羅様は黙って姿を消すような人間ではありません」
「そうだな。少し調べてみる。沙羅の部屋に残っていたものはないか?」
「永斗様が沙羅様に渡していたスマホはテーブルの上に置かれたままでした」
「パスポートは?」
「部屋にはありませんでした」
「……なるほど。今頃空の上かなのかもしれない。通りで見つからないわけだ」
腕時計に視線を落とす。
ニューヨークから日本まで14時間ほど。今、沙羅は空の上にいる可能性がある。
「日本に帰っているということですか……?」
「確実ではない。だが、海は沙羅を日本に帰したがっていたようだ」
「永斗様、私にできることは何かありますか?」
「沙羅の叔父が経営する旅館に沙羅が戻っているかそれとなく探りを入れてくれ。日本にいてくれるならばその方が安心だ」
「分かりました。……永斗様は大丈夫ですか?」
マリアが心配そうな様子で俺を見つめる。
「問題ない。俺は欲しいと思ったものは絶対に手に入れる。何があっても、必ず」
そう言うと、ソファから立ち上がり上着を羽織った。
海のことを甘く見すぎていたようだ。昨日のマウンテンバイクの男も海に指示されていたに違いない。
――いいだろう。
お前がやる気ならば俺にも考えがある。