7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
日本に帰ってから三日が経った。時間が解決してくれると思っていた永斗さんへの想いは薄れるどころか日を追うごとに色濃くなる。

永斗さんと過ごした時間は短かった。でも、忘れることができないぐらい濃い時間だった。

「ハァ……」

今日はお見合い相手の北条さんと2回目の顔合わせが行われようとしていた。

と言っても叔父の経営する旅館で結婚の返事をするというだけ。

相手が私との結婚を強く望んでいる以上、私が『する』と言えば話はトントン拍子に進むに違いない。

朝からどんよりと気分が重たくなる。

永斗さん……今頃何をしているんだろう。

今、日本は朝の7時。ニューヨークの時差は14時間で日本の方が進んでいる。

ということは今は17時ぐらいだと予想がつく。

永斗さんのことだ。17時に家に帰るなんてありえない。今日もまた夜遅くまで仕事に打ち込むに違いない。

マリアも元気にしているかな……?

最後、きちんとお別れの言葉もお礼もいえなかったことが心残りだ。

突然姿を消した私をきっと心配してくれているに違いない。

いつも優しくて気さくで面白くて、年上と思えないほど愛嬌のあって可愛らしかったマリア。

姉ができたようですごく嬉しかった。

ミラちゃんとももっと遊びたかったな……。

もう会えないと思うと、いまだに涙が溢れそうになる。

でも、私は海さんと約束をした。

永斗さんとは二度と会わないと――。

その約束を破るわけにはいかない。

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