7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました

「――沙羅さんと結婚させてください」

その日の夜、旅館を従業員に任せて家に帰ってきた叔父と叔母は口をあんぐりと開け言葉を失っていた。

男の人の影など一ミリもなかった私が男性を家に招くなど青天の霹靂だったに違いない。

隣の部屋からこっそり話を聞いていた妹たちの「えっ！？」「あのイケメンと結婚！？」と囁き合う声も聞こえてきた。

「突然のことにさぞ驚かれていることと思います。ですが、私は沙羅さんを愛しています。必ず幸せにします」

永斗さんの言葉に叔父がコホンっと一度咳ばらいをすると、私に視線を向けた。

「沙羅の気持ちはどうなんだ？本当にいいのか？もしも今回も私たちに気を遣っているのだとしたら……」

「おじさん……知ってたの？」

「知っていたよ。沙羅は昔からそうだ。責任感が強すぎるせいで自分の気持ちに蓋をして、周りに人間のことばっかり考えているだろ？」

「そうよ、沙羅。自分の気持ちに正直になっていいのよ。両親を亡くしてからあなたは今までずっと泣き言一ついわずに妹たちや私たちの為に頑張ってくれた。いい機会だから言うわね。もうその役目を終えてもいいの」

「……っ」

感情がこみ上げてきて私は唇を震わせた。

「沙羅、永斗さんと結婚するのか……？沙羅の気持ちが聞きたい」

叔父さんの言葉に私は溢れる涙を拭って笑顔を浮かべた。

「私、永斗さんと結婚したい。永斗さんを愛してるの」

「そうか。それなら私達は反対しないよ。必ず幸せになるんだよ」

「おめでとう、沙羅」

笑顔で涙を流す叔父さんと叔母さん。

隣の部屋から飛び出してきた妹たちが「お姉ちゃん！！おめでとう！！」と抱き着いてきた。

「ありがとう。……みんな本当にありがとう……」

大好きな家族に囲まれて嬉し涙を流す私の姿を永斗さんは優しく見守っていてくれた。