7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
「色々考えてくれてありがとうございます。でも、してもらってばかりで申し訳なくて……」

私だけでなく家族の支援も申し出てくれているのに私は何も永斗さんに返せない。

すると、永斗さんは私の頭をポンッと叩いた。

「何を言っているんだ。そんな風に考える必要は一切ない。俺は沙羅をもらったんだからな」

「……え?」

「愛する沙羅が妻になってずっと俺のそばにいてくれるなら、それ以外は望まない」

永斗さんはそう言うと、内ポケットから茶色い封筒を取り出した。

中には婚姻届が入っていた。夫になる人の欄にはすでに永斗さんの名前が記入してある。

「どうして婚姻届が……?ニューヨークに戻ってから届けをだすんじゃないんですか?」

ハッキリと取り決めたわけではないけれど、勝手にそう考えていた。

「アメリカで結婚するとなると、籍を入れるまでに時間がかかる。俺は一分でも一秒でも早く沙羅を妻にしたい」

「どうしてそんなに焦っているんですか?海さんとの問題は解決したんですよね?」

私が偽りのフィアンセを演じていたのは永斗さんのお父さんから会長職を譲渡してもらうためだったはず。

でも、海さんが会社を去った今慌てる必要はないはずだ。

「確かに焦っている。昼間の男……北条と言ったか?アイツのように沙羅の魅力に気付いてちょっかいを出してくる男がいるかもしれない。だから、出来るだけ早く籍を入れて俺のものにしたい」

「もしかしてヤキモチを妬いてるんですか?」

まさかとは思い尋ねると、永斗さんは眉間に皺を寄せた。

「悪いか。俺はお前のこととなると、周りが見えなくなる」

ストレートな永斗さんの言葉に私だけでなく叔父と叔母まで赤くなる。

「今、書いてくれるか?」

「もちろんです!」

「あっ、お姉ちゃん。ここじゃザワザワしてて間違いそうだし、あたしの部屋で書きなよ!」

「え!?茜??」

私はなぜかグイグイと腕を引っ張られて二階の茜の部屋まで引っ張って連れていかれた。
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