7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
「沙羅、心の準備はいいか?」
「もちろんです」
私達は役所の時間外窓口で婚姻届を提出した。
永斗さんの用意は周到で、事前に駐日米国大使館で婚姻要件具備証明書を取得していたことで手続きは信じられないほどスムーズに終わった。
「おめでとうございます」
婚姻届は受理され役所の方に笑顔で祝福されると、本当に結婚したんだと実感することができた。
「ありがとうございます」
頭を下げて役所を出ると、幸せが全身に込み上げてきた。
「私が永斗さんの妻で、永斗さんが私の夫……?」
「そうだ。妻……か。良い響きだ」
フッと笑うその横顔があまりにも美しくて胸が高鳴る。
この笑顔を誰にも見せたくない。私ひとりだけで独占したい。
どうしよう、私。
あまりに幸せすぎて怖くなる。
全てが夢だったら……?そうだったならば、私は一生立ち直れない。
「……ーー行こう」
永斗さんは私の肩を抱きながら待たせておいたハイヤーに向かって歩き出した。