7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
「んっ……」

翌朝目を覚ますと、私は生まれたままの姿で永斗さんに抱きしめられていた。

体には昨日の余韻がまだ残っている。

初めの行為なのに……私ってばあんなにも――。

ダメダメダメダメ!

永斗さんの指も声も温もりも体がそのすべてを記憶している。

永斗さんを起こさないようにシーツを体に巻き付けてそろりとベッドから足を下ろす。

「――沙羅」

すると、突然手首を掴まれた。

「おはよう。早いな」

「おはようございます。ごめんなさい、起こしちゃいましたか?」

「いや、平気だ。それより、どこに行く気だ」

寝起きの永斗さんは普段よりも更に色っぽい。それに、永斗さんもわたし同様の格好をしているせいで目のやり場に困ってしまう。

「あのっ、着替えようかと……」

「もう少しだけ。せめてあと5分だけここにいてくれ」

「でも……」

永斗さんは私の腰を抱いてズルズルと布団の中に引きずり込む。

私は再び永斗さんの腕の中にすっぽりと収まってしまう。

「こんなに幸せな朝は初めてだ。これから毎日目を覚ますと沙羅が隣にいるんだな」

私を抱きしめながら永斗さんは再び目をつぶる。

知らなかった。永斗さんは意外と寝起きが悪いようだ。

……そうか。だからか。

初めて永斗さんの部屋に行ったあの日、忙しそうに着替えていたのはこの寝起きのせいかもしれない。

これから毎日大変だ。でも、そんなのも苦ではない。むしろ、毎朝永斗さんの寝顔を見られる私はなんて幸せ者なんだろう。

私は再び寝息を立てはじめた永斗さんの髪を愛おしく思いながら撫でつけて微笑んだ。
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