元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。



 その後特に話を聞けそうな人と出会うこともなく、目的地へ到着した。

 質素な家の扉を叩くと、疲れた顔の女性が顔を出した。



「突然すみません。一年前までデマール家の屋敷でメイドをしていた、ダイアナさん、で間違いありませんか?」

「え、ええ……。そうですけど」

「一週間前、マルガリータ・デマールさんが何者かに殺害されたのはご存じですか? できたらお話しを聞きたいのですが」



 ダイアナの目に、怯えた色が浮かんだ。顔も青ざめている。

 さすがにいきなり本題はまずかったか。シエラは一度深呼吸をして、自己紹介をし直した。



「……わかりました。狭い家ですがどうぞお入りください」



 さすがに伯爵令嬢を追い返すことはできないと思ったのか、ダイアナは小刻みに震えながらもシエラを中に招き入れてくれた。

 彼女の震えがシエラに対する緊張なのか、はたまたマルガリータの殺害について何か心当たりがあるからなのかはまだわからない。


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