元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。


 いったい、金はどこに流れているのだろう。



「マルガリータ様が亡くなったことについての話、でしたね」



 ダイアナは先ほどよりいくらか落ち着いた様子で話しだした。



「そのことについては聞いています。かなり噂になっていました。でも詳しいことまでは知りません。確かにわたしはデマール男爵家で働いていましたけど、辞めてからは一度も男爵家の人たちに会っていませんから」

「そうですか。……あの、ちなみにダイアナさんは、マルガリータさんが殺害された日、どこで何をしていましたか?」

「……この家で、仕事をしていたと思います。夫はもういませんし、子どもは幼いですから証明する人はいませんが」



 男爵が疑っていたよう、元使用人のダイアナは確かに疑わしい。だが、今の男爵家を恨んでいるのは何も彼女だけではない。苦しめられている領民全員に動機があるといっても過言ではない。

 せめて現場となった小屋が事件当時のまま保存されていれば、犯人に繋がる何か見つかるものがあるかもしれないが、掃除は既に終えた後だと聞いた。犯人の特定は骨が折れそうだ。

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