元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
その後、適当に事件の調査をするふりをして、屋敷を後にした。馬車に乗り込み、次はマルガリータ殺害現場である街外れの小屋まで行くように指示を出した。
「それで、成果は?」
「もうばっちりです!」
尋ねられたシエラは、マルガリータの部屋から発見した例の粉を見せる。
ルシウスは薬包紙を受け取り、粉を少量指に付けて匂いを嗅いだ。
「ほう。間違いなさそうですねぇ」
「でしょう! あとですね、実は思わぬものを見つけまして……これ、読んでみてください」
薬と同じように部屋で見つけた、ほんのり花の香りがする手紙だ。
中身を取り出して目を通したルシウスの表情が、険しいものになった。
「これは……人身売買の記録、のようですね」
「はい。売られていたのは、この記録からすると10歳未満の子どもたちばかりですよね。これは予想なんですけど、この子どもたちって、誘拐の被害に遭った子たちなのでは?」
「ああ、誘拐事件のことは君が少し話していましたね。つまりその誘拐事件の主犯がマルガリータ・デマール。誘拐した子どもを売った金を、薬物購入に充てていた、と」