元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
それはさておき。とりあえず裏は取れている。自信を持ってルシウスの言葉を引き継いだ。
「ダイアナさん。息子さんが行方不明になったということ、どうして隠すんですか?」
「それ、は……」
「あの日、いったい何があったのか。私の推理はこうです」
シエラはそう言って家の中に目を向ける。ちょうどダイアナの息子が母親の元に駆け寄ってくるところだった。
「ママ。どうしたの?」
「何でもないのよ。少しだけ一人でお留守番できる?」
「うん」
「良い子。危ないから私の仕事道具に触っちゃだめよ」
ダイアナはどこか寂しそうな表情で息子の頭を撫でる。
そして、シエラに向き直った。
「お聞きしましょう。ですが、どうかこの子のいないところで」
「……もちろん。そこに馬車を待たせています。そちらに移動しましょうか」
無言でうなずいたダイアナを連れ、シエラたちは馬車に乗り込んだ。
小さな声で話せば、御者にもほとんど声は聞こえないはずだ。